タウンホールミーティングは、現場の声を経営にダイレクトに活かすことができるものとして注目を集めています。この記事では、タウンホールミーティングとはどのようなものなのか、その効果やメリットについて説明するとともに、タウンホールミーティングの結果を最大限に活かすにはどのようにすればよいのかについて解説します。
タウンホールミーティング(town hall meeting)とは、社長などのトップ経営陣と、現場で働く社員とが一堂に会して、直接対話できるようなかたちで進められるミーティングのことをいいます。対話集会とも呼ばれています。タウンホール(town hall)とは、市庁舎や公会堂など、大勢の人が集まる場を意味する言葉です。タウンホールミーティングは、歴史的には政治家が公共施設で市民と対話する集会のことをいいます。
タウンホールミーティングの主なやり方としては、経営者たちが各営業所など現場に出向いていき、社員を集めて自由に意見を言える場を設けます。自治体などでもタウンミーティングというものが活発に行われています。タウンミーティングというのは、自治体の首長などが学校や公民館などに出向いていって、市民と意見交換する場を設けることです。議題はいろいろで、まちづくりや行政のあり方、公共施設の運営の仕方など、そのときどきで変わります。普段は庁舎の執務室にいてほとんど会うことがない首長と市民とが直接会って話ができる場として、多くの自治体で実施されている新しい対話のあり方です。
このタウンミーティングと区別するために、会社で行われる場合はタウンホールミーティングと呼ばれています。趣旨はタウンミーティングと同じで、距離を置きがちなトップと現場とが直接的に対話することを通じて、コミュニケーションを活性化することです。大企業の中には、会社トップが交代したときに全国にある支社などに出向いて社員と交流するタウンホールミーティングもあります。また、企業として重要な施策を行うことが決定した場合に、トップ自ら説明して回ったりするタウンホールミーティングも少なくありません。タウンホールミーティングは、トップと現場が直接話す場という意味で広く使われているようです。
タウンホールミーティングが注目されている背景には、経営者と現場社員の意思の疎通が図りにくくなっていることがあげられます。会社が大きくなればなるほど、経営者と社員との距離が広がってしまい、経営者の考えが現場の社員に伝わりにくくなったり、現場の社員の声が経営者に届きにくくなっていきます。
コミュニケーションのあり方としては、1対1で面と向き合ってじっくり語り合えれば一番理想的かもしれません。しかし、現実の会社組織では、そのような対話は実現不可能です。そこで、考えられるのが何らかのツールを使ってコミュニケーションを図ることと、リアルな話し合いの場を設けて、直接対話の機会を増やすことです。タウンホールミーティングは、後者の手法になります。普段なかなか顔を合わせることがない経営者層と現場の社員が実際に会ってコミュニケーションを取ることで、仕事に関する意見交換をしたり、企業理念などの理解を深めていくことができます。
活発な意見のやり取りが行われることは、経営者にとっても社員にとってもメリットがあります。経営者にとっては、現場で働く社員が肌身で感じていることや要望など、貴重な生の声が耳に入るので、経営課題をいち早く発見し改善することが可能になるでしょう。そして、社員にとっては、直属の上司を通すことなくダイレクトに経営陣に意見や提案が言える数少ない機会が得られます。
具体的にタウンホールミーティングをどうやって活用していけばいいのか、実例をあげて紹介しましょう。ある一部上場のメーカー企業では、新社長が全国にある工場やグループ会社を回るタウンホールミーティングを開催しています。1回の参加人数は200~300人で、重視している政策や考え方について説明しています。また、ある食料品会社では、会長と社長が全国の工場・営業拠点に出向いて、経営方針などについて説明をするとともに、社員からの質疑に直接答える場として活用中です。
いずれもトップ経営陣が自らメッセージを伝える場としては有効活用されているといえますが、タウンホールミーティングの課題も浮かび上がってきます。まず、リアルなミーティングなので、日時場所が決まってしまうことです。時間が限られているので参加者すべての発言を拾うことはできませんし、シフト制で勤務している社員など時間の都合がつかない人は参加しにくくなります。また、場所が決まっているので、全国に支社がある会社では、遠方の支社の社員に参加の機会がなくなってしまう可能性もあるでしょう。
次に、会議進行の面では、人数が多いと発言の機会すらないということもありえます。また、顔が見える場での発言なので、メンバーによっては言いたいことが言えず、意見交換が不十分なまま終わってしまうこともあるでしょう。特に、一般社員は発言しにくい雰囲気になってしまうかもしれません。タウンホールミーティングの効果を上げるためには、時間や場所の制約を受けずに、本当に自由な発言が保証できる環境が必要になるといえそうです。
タウンホールミーティングの効果を最大限にするために、コミュニケーションツールを導入することも一つの選択です。たとえば、社内SNSである「エアリー」を使った方法を見てみましょう。エアリーではタイムライン型のリアルタイムコミュニケーションが可能です。発言やコメントが自由に書き込めるので、議事録として利用したり、トピックを共有したり、動画を配信したりすることもできます。また、タウンホールミーティングで発表された重要事項などに対して、社員の意見をコメント投稿してもらうのもよいでしょう。ツールを使えば、後日コメントを書き込むことも可能です。
参加機会の提供という点でもメリットがあります。クラウド型ツールでパソコンやスマホなどのデバイスを用いて会議を行うことができるため、会議のためにわざわざ広い会場を用意したり、日時を決めて社員を集めたりする必要がありません。社員がどこにいても、デバイス経由でリアルタイムで情報のやり取りができるので、会場費や出張コストの削減にもなります。社員がどのように参加しているのか、閲覧状況の確認ができるのも便利です。このように、エアリーを導入することで、リアルなタウンホールミーティングと同様の機会をweb上で持つことができ、自由な発言の機会も確保できることになります。
タウンホールミーティングは、普段なかなか顔を会わせることがないトップ層と現場社員がフェイス・トゥ・フェイスで意見交換できる貴重な機会です。ただし、思ったほど自由に発言できなかったり、社員が多い場合は参加できる人が限られてきたりと、運営上の課題もあります。そのような場合は、SNSを併用することでタウンホールミーティングをより効果的に行うことができます。すでにタウンホールミーティングを実施していて、思ったような効果が上がっていない会社や、これから導入するのにできるだけ効果的な仕組みを作りたいと考えている会社は、リアル+SNSのタウンホールミーティングを考えてみてはいかがでしょうか。