積水ハウスにおける働き方改革の実情 中編
積水ハウスにおける働き方改革の実情 中編

働き方改革先進企業の実情について、前回に引き続き、積水ハウス様へのインタビュー、全三回のうち、第二回をお届けします。
人事部 人事グループ 課長 鬼頭 岳士氏(左)と人事部 人事グループ 松岡 優氏(右)
【前回コラム】積水ハウスにおける働き方改革の実情 前編

働き方の柔軟性を高める、新しい制度

4月に施行された「スライド勤務制度」ですが、どういった制度なのでしょうか?

もともとは、育児や介護などと仕事との両立支援制度として勤務開始時間の繰り上げ、繰り下げを実施していました。自分磨きや学習、趣味の時間を大切にして、そこで得たインプットを仕事に生かしてほしいということもあり、スライド勤務の対象を拡充しました。これまでは、9時から18時の一択だったものを、始業時間と就業時間の選択肢を増やし、8時から17時、9時から18時、10時から19時、11時から20時の4パターンで2018年4月から制度をスタートさせました。

また、営業であれば夜にお客様と打ち合わせをすることが多いため、残業をする前提であれば、あらかじめ夜の打ち合わせのある当日の朝の出社時間を遅く調整する。もしくは翌日の出社時間を遅くすることで、業界特有の課題を解決したいと考えています。4月にスタートしたばかりの制度のため、実績として多くの実例が出ているわけではありませんが、制度の狙いとしては、8時から働き始めると17時には終業となるため、その後に趣味の時間を持つ、11時からの勤務であれば朝、病院に行くこともできるという想定をしています。制度利用については、前日までに申請し、承認されれば利用できることとしています。

働き方の柔軟性を高める、新しい制度 働き方の自由度を高める制度だと思いますが、現場、特に上司の方から不安や懸念の声はなかったのでしょうか?

現場の上司からは、どんな理由で申請してもいいのか? という声、それに対する懸念も出ました。しかし、申請は前日までに必要である点、たとえスライド勤務を利用しても就業時間は、変わらない点を説明し納得してもらいました。

とはいえ、これまで同じ時間、同じ場所で働くことが当たり前だった方からは、心理的障壁が高かったのではないかと思いますが、理解を深める工夫はされていますか?

そういったことも想定し、支店単位で説明機会を作っています。特に、支店長、次長や5役といわれる、店長、総務長、管理長、設計長、建築長などのマネジャーに対して、誤解のないよう丁寧に説明するようにしています。

会社の方針として「働き方改革」が重要であり、必要不可欠である点を意識してもらうことが、最も重要になりますので、半期に1度、2月と8月に開催され、主要な管理職が一堂に会する全国営業会議にて、経営トップから働き方改革について言及してもらっています。特にここ数年は、かなり時間を割いて語ってもらっており、会議に参加していない社員に対しては当日の様子を撮影した映像を視聴させ、会社としての本気度を強調しています。新たにリーダーになる社員に対しては、新任リーダー研修でも制度の説明、「働き方改革」の重要性を伝える機会を設けています。

また、別のイベントで、「いきいきフォーラム(育児中の社員が上司とペアで参加する、両立支援のためのフォーラム)」でも、育児中の社員の上司のみではありますが、そういった話を聞く機会を作りました。このように、同じメッセージでも何度も伝えないと、本気度も伝わらないですし、意識は変えられず、浸透しません。ここまで時間をかけて、何度もメッセージを発信しているのは、当社が「働き方改革」を優先度の高いものだと捉えている表れです。

積水ハウスにおける働き方改革の実情 後編へ続く