「テレビショッピング業界国内最大手で、大人の女性たちから高い支持を得ているジュピターショップチャンネル株式会社様。2017年3月からエアリーダイバーシティを運営し、産休・育休者30〜40名が参加。管理職の体験談やリアルな保活情報などを発信していらっしゃいます。具体的な発信内容や運営のコツについて、経営企画本部人事部の成願紗智子様にお話を伺いました。
事業内容:CATV放送、衛星放送、インターネット、カタログ等の媒体を通して通信販売を展開する「ショップチャンネル」の運営を中心としたダイレクトマーケティング事業
従業員数:993名(2018年3月末時点)
URL:https://www.shopch.jp
・キャリアと子育ての両立支援に向けて、管理職の体験談などを広く紹介できた
・様々なパターンの悩みにフィットする情報に出会える場を作り始めることができた
・「エアリーフレッシャーズ」の利用実績があり、利便性を評価していたので導入もスムーズだった
・育休者への情報提供が月1回の郵送や個別メールだけでは不十分と感じていたため導入に至った
導入の経緯について教えてください。
これまで復職前の不安解消を中心に施策を展開し、復職率はほぼ100%を達成しました。復職が当たり前になると、次の課題は「キャリアと子育ての両立」です。現在、弊社では、第二子以降を出産した社員や責任ある立場の社員など、様々な背景を持つ社員の育休取得が増えてきています。そこで、復職支援に加えて、仕事と子育ての両立が軌道に乗った後に、キャリアについて主体的に考えることができる機会を用意したいと感じていました。
SNS導入前、育休者とどのように連絡をとっていましたか?
月1回、弊社の番組ガイドやプレスリリースを郵送したり、必要に応じて個別にメールで連絡をする程度でした。郵送のデメリットは、発信頻度が低く、送る時には古い情報になってしまうこと。育休者向けの情報も特にありませんでした。受け取る側は、会社から取り残されているような感覚があったかもしれません。発送に手間や費用もかかっていました。
エアリーダイバーシティを選んだきっかけは何ですか?
弊社は、内定者フォローSNS「エアリーフレッシャーズ」を以前から利用していました。採用担当から「気軽にコミュニケーションがとれて、提出物管理やアンケート機能も便利」と聞いており、これは子育て中の社員のフォローにもぴったりだと思いました。
機能面ではどこが魅力的でしたか?
人事グループと育休者との連絡のとりやすさです。人事グループで1つのアカウントを共有できるので、どんな相談もワンストップで受け付けて、最適な担当者からスピーディーに回答できます。
エアリーダイバーシティのどのような機能を利用していますか?
プレスリリースや人事発令などの情報をリアルタイムで流すほか、育休者が欲しい情報を取りに行ける場所として「復職支援ルーム」というコミュニティを作りました。年2回開催する「ワーキングママセミナー」の内容などを投稿しています。復職して管理職になった社員の講演やママ社員の子育て座談会を、人事担当者が記事にまとめて掲載しました。
特に、管理職の講演の記事は、キャリアと子育ての両立を考えてもらうきっかけが作れたと思います。少し上の世代の管理職の体験談って、実は聞く機会があまりありません。キャリアアップしたい社員に向けて「管理職になっても、子育てはなんとかなるよ」「子どもがいても、キャリアを目指していいんだよ」と伝えられる良い機会になりました。この記事は今後シリーズ化したいです。
セミナー内容をSNSに掲載すると、どんなメリットがありましたか?
大阪勤務でセミナー会場が遠い人や、当日の都合がつかない人など、参加できなかった人にも内容を周知できました。好きな時に振り返って読んでもらうこともできます。
「復職支援ルーム」には、他にどんな情報がありますか?
復職した社員から集めたリアルな保活情報を掲載しています。保活は、初めての人はわからないことだらけで出遅れたり、地域差が激しくて本当に必要な情報を集めにくかったりして苦労しますからね。
リアルな保活情報とは、どんな内容ですか?
住んでいる市町村を明らかにしたうえで、見学した園の数、申し込んだ園の数、いつから予約できたか、園を選んだ基準、実際に利用している園のメリット・デメリットなどの情報をまとめました。
居住歴が長いほうが選考に有利な地域があったり、保育園によっては使用済みのオムツを持ち帰るルールがあったりと、保活や入園後の生活を経験しないとわからない具体的な情報がたくさん集まりました。
また、先輩ママから新米ママへ、両立について気持ちのこもったアドバイスやメッセージを書いてくれていて、ママ社員同士の絆って本当に強いんだなと実感しました。今後、育休者が先輩ママ社員に個別相談を希望することがあれば、マッチングする予定です。
育休者は、自分にぴったりの情報を求めているのですね。
例えば、同じ社員でも第一子の出産後と第二子の出産後で、悩みは違うと思います。だからSNSは、いろんなパターンの悩みにフィットする情報に出会える場にしていきたいんです。育休者のナレッジデータベース、といったイメージですね。
SNSは、最初から活発に利用してもらえましたか?
実は、当初は低調でした。「月に1回はSNSを見てください」と呼びかけましたが、行動を促す仕組みがなかったのです。そこで月1回の「お知らせメール」を始めました。
「お知らせメール」はどんな内容ですか?
月末に、その月に発信した情報を一覧で紹介しています。これで見逃した方もフォローできます。このほか、「人事担当者のつぶやき」と題して、ママ友とのおしゃべり感覚でちょっとした育児ネタを書いています。復職者が多い3月は、私が保育園グッズの名前付けに使って便利だったグッズを紹介したところ好評でした。このほか「人事に何でも気軽に聞いてね」というメッセージも発信しています。
運営のルールや、心がけていることはありますか?
SNSに初めて参加した人には必ずコメントを返したり、事務的な連絡の際に近況を聞いてみたりしています。お子さんの写真を送ってくれる人もいたりして、楽しく交流しています。
導入後、利用者の反応はいかがですか?
育休者からは「休んでいる間も社内情報がわかってよかった」と喜ばれています。保活情報も、とっても好評です。保活情報を「先輩ママの体験談」として発信できた点は、人事としてもよかったと思います。産休前の社員との打ち合わせでは、制度や手続きの説明に時間をとられ、保活のアドバイスまで手が回りません。情報戦と言われる保活の最新情報を伝えてくれる先輩ママ社員は、とてもありがたい存在です。また、保活の苦労についても、人事が伝えるよりも、保活を勝ち抜いた先輩ママから実感を込めて伝えてもらったほうが、受け手の社員への響き方も違います。
導入・運営にあたり、EDGEの担当者のサポートはいかがでしたか?
使い方のサポートはもちろんのこと、担当者と一緒にアイデアを形にしていくことで運営の内容を充実させることができました。「お知らせメール」も担当者と相談して決めて、育休者の利用促進に大いに役立っています。
今後、どんなことに取り組みたいですか?
復職後の社員に参加してもらい、育休者から聞きたいことがあればすぐに質問できるような、交流の場にしていきたいです。また、男性社員が育休を取得する予定なので、SNSに参加してもらい男性目線の意見を反映したいです。女性の育休者にとっても、男性の育休取得を理解する機会になりそうです。
今後、育児をしながら働く社員以外にも、介護やダブルケアに直面するケースなど様々な課題が出てくると思います。すべての社員が働きやすい職場を作るために、「感謝」や「お互い様」の気持ちを持つよう伝えたり、介護のストレスを吐き出せたりする場としてSNSを活用するというのも、いいかもしれませんね。